日本人はTwitterでRemoveできるのか。―コミュニティとしてのfollowのススメ

id:gothedistance氏の
Twitterについての雑感
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20090914/1252860041

のコメント欄で、id:y_arim氏とid:llcheesell氏の会話が興味深かったので、自分の考えをまとめてみた(以下敬称略)。
id:y_arim

> Removeは悪でもないし、人格否定でもなんでもないですよ。Removeするなんて信じられないと言っている人のほうが僕は信じられない。
> 中の人と中の人の言動やPOSTがうざいってのは別問題
この感覚がまるで理解できないのだよなやっぱり……。どうやったら「言動の否定」(見たくない、とremoveするのはそういうことだと思う)と「存在の否定」を切り離せるのか。
というか、それくらい気軽に会ったりremoveできたりする相手というのは、いったいどれくらい自分に近い、もしくは自分から遠い関係なのだろうか。……そこがわからず、ここ1年くらいTwitterをやっていて常にストレスに曝されている。

といえば、
id:llcheesell

Twitterは発言で繋がるのにそれを切っちゃうのって、その人の存在を自分の視界から意図的になくすことであって、その人自体への関わりのスタンスと大きく関係しているように僕には思えます。
(中略)
人は追わずリアルタイムの発言だけを追うというスタンスでうまく割り切れればいいのでしょうけどね。
僕はどうしても気になる人は気になりますし、それぞれを見てしまいます。そして発言とその人の存在を切り離すことは無理でした。

と答えていて、ああ、極めて日本人的な考え方だなぁと思った
(別に批判するつもりはないので、念のため)。

意見と人格を切り離させない日本人

日本人は欧米人と比べ、議論がヘタとよく言われる。
そもそもディベートをして育ってないとか論理的な考えが苦手だとか、
いろんな原因があるとだろうが「意見と人格の切り離しが出来ない」という点がある。


うろ覚えで恐縮だが、日本でも熱い会議をすることで有名な某社のサラリーマンらがアメリカに研修に行ったら、
アメリカではとっくみあいに近いような会議しているのを見て驚いた、という話をきいたことがある。
さらには、そんなだったらさぞ社員同士の仲が悪いだろうと思ったら、
会議が終わったあとは笑顔でコーヒーを飲んでいる風景を見て、二度驚いたという。
意見と人格が切り離されているからできることで、
日本人はなかなかそうもいかない。どうしても感情的なしこりが残ってしまう。
それが「ゆるさ」がウリのTwitterでも出てしまうのは、なかなか業が深い。
あなたの「Twitterのエントリ」が面白くないだけで、
「あなた」自身を否定してるわけではないのに、
全人格を否定されているように感じざるを得ないのは、当然俺にだってわかる。



日常を垂れ流すTwitterは「全人格を否定した」と思われやすい。

そういった日本人論的な部分は置いとくにしても、
はてなハイクとの比較をしてみると、そのダメージの深さがわかりやすい。
ハイクに対してひいき目なのと、Twitterあんまやってないから想像に近くなるのは、ご容赦。


はてなハイクはお題に沿ってエントリをしていく方式のため、
テーマ内でのコミュニケーションがとりやすくなる。
そのため、過度にネタ化に走り、一種の祭り状態が発生することもしばしばある。
またはてなスターという「見返り」があるので、
より人に面白いと思ってもらいやすいエントリが発生しやすくなる。
はてなハイクは基本的に「人に見てもらう」ためのミニブログだと言っていいだろう。


一方Twitterは「気軽につぶやける」ので、どうでもいい内容が多くなる。
それは必然的にその人の日常をフィードバックしたものになる。
どこそこへ行った、何を思った、何を食べた・・・。
つまり、日常の延長上にある。
エントリの多い人ほど、そうなってくるだろう。
そのTwitterでRemoveされるということは、
ハイクでは「お前おもんないorウザイ」で終わるのが、
Twitterでは「お前には興味がない」と、人格から普段の暮らしぶりまですべてひっくるめて、
存在自体が否定されているように思われても、決して大げさではないだろう。


「ゆるい」Twitterにも日本人的人間関係は生じうるのか

Twitterのキーワードとして「ゆるさ」がある。
ただ今後ユーザー数が爆発的に増えていくとどうだろうか。
「ブレイクするということは、バカに見つかること」という有吉の至言があるが、
そういった「バカ」(あんまネットに慣れてないけど、とりあえず流行のサービスを使ってみたい層)が
入ってきたときには、「follow返し」なんてのが(彼らの中でだけ)当たり前になっていて、
当初の「ゆるさ」はなくなっていくだろう。
かといってRemoveしなければ、どうでもいい呟きがあふれかえり、
結局ノイズだらけになって情報収集もコミュニケーションもクソもない。


そうしたときに、Removeの問題が生じてくる。これは切られる側でなく、切る側としても、だ。
「マイミクを切る」のと同じ感覚でfollowを切っていたら、相当なストレスが溜まるだろう。
「マイミクを切る」のだって、人によっては絶交に近いニュアンスがあるかもしれない。
Twitterでも、id:y_arimがいうように、Removeは相手の「存在を否定」していると捉えられかねないからだ。
その時すでにTwitterは「ゆるさ」や「気軽さ」がウリではなくなっているかもしれない。
(もっともmixiと違って100人もいれば誰をfollowしたか・されたかなんか、
 親しい相手でもない限りわからなくなるだろうがw)


followはマイミクじゃなくて「コミュニティ」と考える。

id:gothedistance曰く100人、id:ululun氏曰く500人(!)という、
トンデモナイ数のfollowをしなければTwitterは面白くないという(追記参照)。
mixiで考えるとfollw=マイミクの数と考えるのが妥当だろう。
ここでマイミクの平均数を調べてみた。
2005年の10月と古いデータになるが、
ソーシャルネットワーキングの利用に関する調査」
http://www8.plala.or.jp/revir/works/sns/
にある「集計結果(PDF)」
http://www8.plala.or.jp/revir/works/sns/mixiout.pdf
を見ると、マイミクの数は21.0、コミュニティが36.0という中央値が出ている。
これではとてもではないが、Twitterは楽しめないw


が、ここで発想の転換が必要だ。
followはマイミクじゃない、コミュニティの数だ。
マイミクが3ケタの人はあまり見ないが、コミュニティが3ケタ後半とか、やたらと多い人はたまに見る。
趣味に合うコミュニティをかたっぱしから登録しているんだろうが、
Twitterはそういう感覚でfollowした方がいいんだろう。
一人一人がメディアであり、コミュニティなのだ。
mixiでいうコミュニティなら、気軽に参加も退会も出来る。
コミュニティ退会するときに、「管理人に申し訳ないなぁ」とか思わないでしょう(知人なら別だが)。
そういった「気軽さ」でfollowしていけば、来るべき「Twitter疲れ」とは無縁でいられるだろう。


最後に。

というわけで、もうちょっとTwitterを使いこなしたいので、アカ晒します。
followしてくれたら、ちょお嬉しい。
Removeされても怒らないよ!!!(きっと)
https://Twitter.com/take_it02


追記:id:ululun氏からご指摘頂いたので、きちんと説明します。

斯く言う私も被followが500を過ぎた頃からソーシャルメディアとしてのtwitterの可能性を感じたり、ハッシュタグや検索窓を駆使したりbuzztterやtwibのような外部サービスを使ってエゴサーチをしながら自分の興味のある情報を収集したりするようになって、やっとなんとなく「こうかな?」と思うようになったのだけれども、アカウント取得したときに推奨される「誰だかわからない20人」をfollowしたくらいじゃ多くのユーザには面白さはわからんだろうなあ、と思った。
http://d.hatena.ne.jp/ululun/20090906/1252170719

とあり、これを僕は「Twitterは500人くらいfollowがいないと楽しめない」と解釈しました(follow・被followは置いときます)。が、ululun氏からするとこれは誤解もいいところで、

私見ではありますがfollowerの数が「楽しさ」を担保するものではないと思っていますので「楽しくない」という言説に対して「●●人followすれば楽しくなるよ!」とう言い方は私の考えからもっとも遠いものであります。

とのコメントでご指摘頂きました。
すでに多くの方に読まれた後ではありますが、「ululun氏がTwitterは500人followしないと楽しめないと言ってた」と誤解を与えるような発言をしてしまったことを、ululun氏と本ブログの読者にお詫びします。


あと、お陰様でこのエントリの前には8人だったfollowersが225人にまで増えました。実はアカウントは1年以上前に取得したものの挫折して放置していたのですが、今日昨日だけでも、ようやくTwitterの楽しさがわかり始めてきました。
またブックマークも多く頂きありがとうございます。
ぶっちゃけtwitterバブルが終わる3つの理由よりは面白いモノを書いたという自負はあったのですが、ここまでブックマークが伸びるとは思わなかったし、さらにはブコメを拝見しても概ね好評だったので、自分でも非常に驚いています。
今後もTwitterはてなハイクの比較なんかをエントリしていきたいので、その時はどうぞよろしくお願いします。