紙の本が100%亡くならないと断言できる、たった一つの理由。

電子ブックリーダーが本格的に広まれば、既存の「紙の本」は当然極端に減少していくだろう。
電子ブックの利点といえば、
・検索できる
・省スペース(ブックリーダーorSDカードなどのメディアのみですむ)
という2点がぱっと思い浮かぶが、この2点だけでも紙の本の利便性を遙かに上回る。
本棚が洪水を起こしている人ははてなーにも多いだろうし、
ちょっと引用したかったり調べたかったりすることがあっても、
紙の本はググるわけにはいかない(最近はそうでもないが)。
そう、本は収集癖のある人からすれば、本棚を見てニヤニヤできるものの、置き場所にこまる悩ましい存在なのだ。



とはいえ、紙の本はなくならないと俺は断言できる。
ある種工芸品として、絶対に残る。
情報自体(小説、評論、論文)とメディア(本というモノ)はまったく別のものだ。
現状では「本=情報」としての意味合いが強いが、
電子ブックリーダーが常識となる時代には、「本=モノ」として認知されるようになるだろう。
モノとしての「本」。
その時、本はグーテンベルク聖書のように、
かつての「希少価値のあるモノ」としての本が復権するといえるのかもしれない。



もっと技術が進んで、
拡張現実の産物として本がヴァーチャルに存在しうるようになったとしても、
「現実に存在する1点限りの本」という価値には敵わないのだ。
それはいくら『真珠の耳飾りの少女』の画像をDLし、印刷したところで、
マウリッツハイス美術館にいる彼女には似てもにつかないように。



たとえば、こんな本がある。
四大奇書、四大ミステリ(or三大奇書)などと言われる
ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』に並ぶ、『虚無への供物』。
64年に発刊された時は塔晶夫名義だったが、その後は本名の中井英夫名義で発行され続けた作品の、
塔晶夫」名義での復刻版である。


『虚無への供物』塔晶夫東京創元社、限定100部特装本)
A5判背革マウント装・天金・畳函・題簽付き外箱、建石修志オリジナル銅版画3葉

値段もケタが違う。65,000円。

紙の本が100%亡くならないと断言できる。
最高の小説は、最高の本で読みたい(いや、さすがに勿体なくて読めないけどさ)。
マニアは、こんな本が欲しいのだ。